コラム

2010年10月 ぐい呑 小山富士夫作
ぐい呑 小山富士夫作

この季節に使いたくなる小山富士夫作のぐい呑である。
父の遺品のひとつである。父が慕っていた小山先生がこちらに来られるたびに、「今度、お土産にぐい呑をもってくるから」と言われていたという。 しかし、有田に着く前、嬉野で宴を挙げられる際にいつも芸者さんにぐい呑を振舞われ、有田に来られるときはいつもぐい呑はなくなっていたということである。 それで、どうしても欲しいと思い、作品展か何かのときに一箱(五個入)買い求めたものであるという。
父が晩年、晩酌のときに好んで使い、美味しそうに口をあてていた姿を思い出すぐい呑である。

(文:14代今泉今右衛門)