コラム

2009年10月 染付琵琶香合 11代今右衛門作  昭和初期
染付琵琶香合 11代今右衛門作  昭和初期

この琵琶の香合は、昭和4年の巳年に造られた11代今右衛門の作品である。琵琶は巳の守り神・弁財天が持つ道具とした巳の象徴であるが、よく出来た香合である。
実はこの香合は15年程前、古くからの今右衛門贔屓の方から送ってきたものである。手紙には「昔からこの香合は大事にしていました。しかし、自分も歳をとり、子供が焼物に全く興味を示さないため、亡くなったあと、この香合がどのような扱いを受けるか、この香合がかわいそうなのでお戻しします」とのことだった。大事に使っていただいた心が伝わる香合である。

(文:14代今泉今右衛門)