コラム

2010年04月 杯 加守田窯作
杯 加守田窯作

実は、加守田窯の作品とは知らずに仕事場に飾ってあったものである。私が使っている仕事場は、元々は父の仕事場であり、父が使っていたものがそのまま残っている。描きかけの素焼、見本の焼物、初期伊万里や土物などの古陶器や陶片などなど。私が使うようになっても、手をつけていないので父の頃とそのままである。この作品は取材で来られた山口県立萩美術館の石崎さんが見つけられた。指摘されるまで気付かなかったのは恥ずかしいが、実は、置いてある物の中にはいまだ産地や作家名がわからないものも多い。
父は晩年私に、「仕事がしやすいように仕事場は作り変えてもいいよ」と言っていた。しかし、そうするには整理しなくてはならない。一つ一つに見入っては整理は進まないし、時間もなかなか取れずにいる。当分先の楽しみな計画の一つである。

(文:14代今泉今右衛門)